公正証書


 公正証書とは、公平な立場の公証人が、お客様(当事者)から伺った内容に法律的な検討を加えて作成した公文書です。作成した公正証書は原則20年間(必要があればそれ以上)公証役場で保管します。したがって、公正証書に記載した内容が後で改ざんされたりする心配がありません。

 

 取引に関する公正証書として、不動産売買契約、不動産定期賃貸借契約、一般賃貸借契約、消費貸借契約、リース・レンタル契約、委任契約、マンション規約の設定などがあり、家庭に関する公正証書には、遺言、任意後見契約、遺産分割協議、離婚(養育費、財産分与、慰謝料の約束)、年金分割契約、尊厳死に関する宣言などいろいろな例があります。

 特に、一定の金銭を払うことを約束し、その内容が「強制執行認諾文言」という文言とともに公正証書に記載されると、もし約束が守られない場合には、裁判所の判決がなくとも公正証書によって強制執行(差押え)をすることができるという強い効力が与えられています。金銭の貸借だけでなく、養育費、財産分与、慰謝料、損害賠償など約束を必ず守ってほしいという場合に有効です。

 また、定期借地権の設定、任意後見契約の締結、年金分割契約などは公正証書等で約束しなければ効力がないとされています。

  最も身近な公正証書は遺言公正証書かも知れませんね。高齢化社会を迎え、公正証書で遺言をされる方が増えています。遺言については左のメニューから遺言のページをクリックしてご覧ください。任意後見契約も熟年以後の生活に備えるものとしてお勧めしています。左のメニューから任意後見のページをクリックしてご覧ください。


 証拠保全の目的で利用される「事実実験公正証書」という公正証書もあります。 

 例えば、特許や実用新案など知的財産権関係の問題については、開発関係資料、物の製造過程やその結果、商品の形状や特質、商品の販売状況などを記録する目的で利用されます。工夫次第で広範な証拠保全に利用でき、紛争の解決に決定的な影響を持つ場合があります。時には専門家の補助を得て大がかりな態勢で行われます。

 従前から積極的に利用される企業もありましたが、平成18年に特許庁が公表した先使用権制度の円滑な活用に関するガイドラインで事実実験公正証書の活用等が推奨されたこともあって、関心を示される企業や専門家が増えています。

 その他、証人の供述を公証人が聴取し、公正証書に記録することもできます。証拠保全の目的のほか、証言に代わる証拠として法廷に提出し、あるいは裁判所の証拠採否の重要な参考資料として提出する目的でも利用されます。

 貸室の賃借人が家財道具を残したまま所在不明になったときに公証人が立ち会って部屋を点検したり、銀行の貸金庫の使用者が所在不明になったときに公証人が立ち会って貸金庫を開扉することなどもよくありますが、このような場合に立会状況を記録する公正証書も事実実験公正証書です。

 

 指紋を外国の官庁等に提出する必要がある場合には、公証人が指紋の証明をしますが、当役場では、原則として、警視庁のご協力のもと、警視庁の担当官による指紋採取に公証人が立ち会い、その結果を公正証書の形式で証明する方式をとっています。   


 このように公正証書は特別な証書ですから、これを作成するには一定の準備が必要です。公正証書に記載するご依頼の内容によって多少異なりますが、基本的には以下の準備をしていただくことになります。


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【公正証書作成の際の必要書類】

 

<当事者が個人の場合>

1.当事者本人が役場に出向いて作成する場合・・・次の(1)+(2)

 (1)当事者本人の本人特定資料 次のaまたはbのいずれか

    a.運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど官公署発行の顔写真付き

      の身分証明

    b.印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)

 (2)当事者本人の印鑑

     上記(1)のaの資料を用意された方は認印または実印、bの資料をご用意された

    方は実印。


2.代理人が役場に出向いて作成する場合・・・次の(1)+(2)+(3) 

 (1)当事者本人から代理人への委任状

   委任状に別紙(公正証書に記載する事項が具体的に記載された文書)を合綴

   し、委任状と別紙の各ページ間に委任者の実印で契印がなされているの。

   また、強制執行を認諾する条項付きの公正証書を作成するには、委任状にその

   旨の文言を記載しなければなりません。

(2)委任者本人の印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)

(3)代理人の本人特定資料と印鑑(a又はbのいずれかの組み合わせ)

     a. 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど官公署発行の顔写真

       付きの身分証明と印鑑(認印で可。インク充填式のものは不可。)

     b. 印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)と実印


<当事者が法人の場合>

1.法人代表者本人が役場に出向いて作成する場合・・・次の(1)+(2)+(3)+(4)

 (1)法人の登記簿謄本(現在事項証明書)または代表者資格証明書(3か月以内に

    発行されたもの)

 (2)法人代表者印の印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)

 (3)法人代表者印

 (4)法人代表者の本人特定資料

     運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど官公署発行の顔写真付きの

    身分証明

 

2.代理人が役場に出向いて作成する場合・・・次の(1)+(2)+(3)+(4)

 (1)法人代表者から代理人への委任状

     委任状に別紙(公正証書に記載する条項が具体的に記載された文書)合綴

     し、委任状と別紙の各ページ間に委任者の実印で契印がれているもの。

     また、強制執行を認諾する条項付きの公正証書を作成するには、委任状にその

     旨文言を記載しなければなりません。

 (2)法人の登記簿謄本(現在事項証明書)または代表者資格証明書(3か月以内に

    行されたもの)

 (3)法人代表者印の印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)

 (4)代理人の本人特定資料と印鑑(次のa又はbのいずれかの組み合わせ)

   a. 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど官公署発行の顔写真付き

      の身分証明と印鑑(認印で可。インク充填式のものは不可。)

     b. 印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)と実印

 

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【公正証書作成の流れ】

 

 公正証書の作成をご依頼いただく前に、当事者同士がよく話し合い、公正証書に記載する内容を決めてください。公正証書の作成及び記載内容について当事者全員が合意していなければ、公正証書を作成することはできません。

 

 当事者や代理人が公正証書の基となる資料を公証役場に持参されてご相談されるか、または公証役場に電話連絡した後、資料をメールで送信ください。

 

 相談内容や資料を基に、公証人が公正証書の案文を作成し、当事者や代理人の方にそ案文をファクシミリやメールで送信いたしますので、内容をよくご検討いただき、修正箇所や内容の変更の有無などを公証人へご連絡ください。

 

 上記のやりとりを何度か繰り返すことで公正証書の最終案ができあがりますので、来訪日の予約をしていただき、その日時に当事者又は代理員が揃って公証役場へお越しください。そこで公正証書の記載内容を最終確認をし、公正証書の原本に当事者又は代理人のご署名と捺印をいただき、公正証書が完成となります。

*必要資料や来訪者の印鑑をお忘れの場合、公正証書が完成できませんのでご注意くださ

 い


 公正証書の原本は公証役場で原則20年間保管し、当事者には公正証書の正本または謄本を交付します。


 公正作成のご依頼から完成まで準備に日数を要しますので、時間に余裕をもってご依頼ください。


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【事前にお知らせいただきたい事項】

 

 公正証書には、当事者及び代理人の正確な住所、氏名、生年月日、職業を記載します。

当事者及び代理人の身分証明、登記簿謄本などの資料は早めにご用意いただき、事前にその写しを公証役場へメールで送信ください。(職業は別途お知らせください。)